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D-0001 改札は一人につき一度しか鳴りません
霧野
観測期間
1998 年頃 〜 2015-11-09
// 概要
駅の自動改札が、一人の通過で二度続けて鳴ることがあるという。そのあいだに改札を通った人はいない。二度鳴った日には誰かを一人忘れる、という言い方が年をまたいで繰り返され、誰が欠けて誰が残ったかの覚えは、人によって食い違っている。残っているのはいずれも写しで、手紙が一通、拾われたメモが一枚、駅の忘れ物窓口の応対記録が一件、役場の旧い台帳が数枚、ほか数点。どこから集められたのかは分かっていない。
収録資料
- F-0001 完全 届かなくなった郵便についての手紙
1998 年頃
拝啓 朝夕はめっきり冷え込むようになりました。いかがお過ごしでしょうか。 橋のたもとでお待ちした件は、もう気にしておりません。行き違いは誰にでもあります。ただ、あれからひと月ほど、少し困ったことが続いておりまして、あなた…
- F-0030 完全 顔を思い出せない人と一緒に帰った日のメモ
2010 年代なかば
(手帳の一枚。日付の欄に年は書かれていない) 2/17 忘れないうちに書く。 帰り、いつもの各停。霧野に着くまで、隣に人が座っていた。それは確かで、途中で肩が触れて、会釈された。こっちが先だったかもしれない。ホームの自販…
- F-0019 完全 品名の分からない忘れ物についての問い合わせ
2015-11-09(応対記録の受付日による)
(お忘れ物のお問い合わせ窓口にかかった通話の書き起こしとされる。注記は原記録のまま) 受付 2015年11月9日(月)16時台 係:お電話ありがとうございます。お忘れ物のお問い合わせ窓口でございます。 客:あ、すみません…
- F-0031 完全 自分の家の頁だけ見つけられなかった台帳の写し
写された時期は不明。台帳の様式は昭和のものとされる
(写し。欄の名と並びは元の綴りのままとする。注記は写した者のものと思われる) 〔綴りの表紙は写されていない。一枚目の頭に「霧野」とだけある〕 拾六番地 世帯主 〔塗りつぶし〕 転入 昭和二十九年五月 備考 昭和五十一年三…