F-0030 顔を思い出せない人と一緒に帰った日のメモ
- 時期
- 2010 年代なかば
- 状態
- 完全
- 出所
- 手帳から破り取られた一枚とされる。拾われた場所と経緯は残っていない。
// 本文
(手帳の一枚。日付の欄に年は書かれていない)
2/17
忘れないうちに書く。
帰り、いつもの各停。霧野に着くまで、隣に人が座っていた。それは確かで、途中で肩が触れて、会釈された。こっちが先だったかもしれない。ホームの自販機で缶コーヒーを二本買っている。一本は自分ので、もう一本は、頼まれたのか、渡すつもりだったのか。二本目はまだ鞄に入っている。
覚えていること
・紺色の袖。手首のところに毛玉がひとつ
・相づちの声。低くも高くもない
・降りるとき、先に立ったのは向こう
・改札。自分が通って、少し間があって、もう一回。通った人はいないはず。音だけが遅れてきた感じ
顔が出てこない。眼鏡だったかどうかも出てこない。名前を呼んだ気がするのに、何と呼んだのかが出てこない。
知っている人だったと思う。知らない人に缶コーヒーは買わない。
明日も同じ電車に乗る。隣に座られても、たぶん分からない。
缶コーヒーは冷蔵庫に入れた。開けないでおく。
整理票
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