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F-0053 分岐器が定位に戻らなかった夜の指令所当直日誌

時期
2021-08 〜 2022-07
状態
完全
出所
早瀬電鉄の指令所(運行管理を統括する現業機関、機能呼称)の当直日誌からの写しとされる。鵜沼台・三番線の奥に関する行を中心に抜き書きされている。複数の当直者による記入を含み、記入者の欄は写しの段階で省かれている。

// 本文

(早瀬電鉄の指令所の当直日誌からの写しとされる。鵜沼台・三番線の奥に関する行を中心に抜き書きされており、無関係な区間名の伏せ字を含め表記は原本のままとする。記入者の欄は写しの段階で省かれている)

2021.08.19
捜査関係者より確認の連絡あり。鵜沼台付近の住民から、通電区間に誰か入り込んでいるのではないか、という通報があったとのこと(夜中に音がしたため)。当該区間に立ち入りや作業の予定がないか確認された。今回で今年に入ってから何件目かになるらしい。通報者の話として伝えられた内容の一部を転記:「電車が通るような音がして、てっきり誰か入り込んでるのかと思ったんですが……もう何年も列車は通っていないんですよね?」。当該区間は廃止済み、予定なしと回答。次直も一応把握しておかれたい。

2021.08.25
定期点検、△△区間の信号予備品交換。特記事項なし。

2021.09.30
捜査関係者より、同様の確認がまた入った。今回は明かりが見えたため、不審者ではないかとの通報とのこと。詳しい内容までは伝えられておらず、「ホームのあたりで光った」という要点のみ。前回同様、予定なしと回答。

2021.11.03
23時台、三番線の奥にて在線検知(軌道回路が列車の存在を感知する仕組み)に反応、数秒で消失。既知の誤検知パターンとして記録。特記事項なし。

2021.12.20
三番線の奥にて同様の在線検知、再発。前回から間隔は約七週間。頻度としては珍しくないが、毎回同じ位置であることに一応触れておく。

2022.01.14
三番線の奥、38号分岐器の開通方向表示が反位を示す。当該分岐器は廃止後は使用実績がなく定位で固定されているはずだが、表示上は反位。指令からの転換操作記録なし。数分で復旧を確認、記録のみ。

2022.01.29
三番線の奥、38号分岐器がまた反位。前回と同じ向き。ただし継続時間は前回よりやや長い。単発の表示誤りにしては同じ位置・同じ向きが続くため、次直も念のため注視されたい。

2022.02.18
三番線の奥での在線検知に伴い、列番欄に「412」の表示。現行ダイヤに該当なし。数秒で消える。表示の誤作動として処理したが、念のため記録しておく。

2022.02.24
捜査関係者よりまた確認の連絡。今回は不審者らしき人影を見たとの通報。通報内容の一部を転記:「今度は、駅の方で人の形みたいなものが一瞬だけ見えました。すぐ消えたので、見間違いだと思います」。以後は通報の日時も分かる範囲で伝えてもらうよう依頼した。

2022.03.02
気になって列番の照会をシステムでかけてみたが、該当する記録は出てこなかった。念のため旧ダイヤ資料の保管庫にもあたったところ、「412」は当該区間の廃止直前まで運行されていた最終便の番号であることが分かった。廃止から相当年数が経っている番号が、なぜ今になって表示に出てくるのかは分からない。

2022.04.06
これまでの発生(在線検知・分岐器・列番)を位置で突き合わせたところ、いずれも三番線の奥、旧信号扱所付近に集中していることを確認。捜査関係者からの確認にあった通報者の目撃位置ともおおむね一致する。ただし一度だけ、離れた場所(側線の外れ)での在線検知が一件あり、これは今回の集計には含めていない。
あわせて確認したところ、当該区間は廃止時の停電作業完了確認が正式に提出されないまま長期間放置されていたことが分かった。上へ重点調査を上申する。自分はこの記録を最後にこちらの当直を離れる。以降は次の担当に任せる。

(ここから記入の手が変わる)

2022.05.09
前任からの引き継ぎで一連の記録には目を通している。正直、最初は大げさに書いているのではと思っていた。上申の件について、前向きに検討するとの返答があったが、詳細はまだ聞いていない。

2022.06.13
委託先による現地確認が始まったらしいとの情報が回ってきた。当所への正式な共有はまだない。引き続き監視は継続する。

2022.06.25
23時台、在線検知。数秒で消失。前任の記録通り、位置は変わらず三番線の奥。ここまでは前任の記録通りで、実感としてはまだ薄い。

2022.07.02
三番線の奥、38号分岐器、反位。前任の記録にあった通りの向き。数字だけ追っていたときとは、少し違う感触がある。

2022.07.09
23時台より三番線の奥、在線・分岐器・列番のいずれも同時に反応。三つが同時に出たのはこの夜が初めてになる。
23:14 38号分岐器へ定位への復位操作を遠隔で送信。一度は定位に戻る。
23:19 五分ほどで、また反位に。
23:22 もう一度、定位への復位操作を送信。今度も同じように一度は戻るが、
23:27 確認するとまた反位に戻っていた。二回とも同じ経過をたどったことになる。正直なところ、二回目に確認したときは、あまり気持ちのいいものではなかった。
同日夜、委託先より、本日の点検中に機体と連絡が取れなくなったとの一報が回ってきた。当所の記録と照らし合わせると、少なくとも日付は同じだった。

2022.07.10
上より、無人機による現地調査を当面見合わせるとの通達。三番線の奥、以後は在線検知のみ継続監視とし、それ以外の記録は当面控える方針。

整理票

D-0014 三番線の奥は、点検の対象ではありません

飯能

2021 年 8 月頃 2022 年 7 月

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