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F-0050 第八寿丸はこれからも運用いたします

時期
1988 年の秋から翌年の冬にかけてのものとされる
状態
完全
出所
戸崎島の漁業無線の控えとされるもの。日付ごとに紙を替えて綴じてあり、筆跡は一様でない。破れや欠けはないが、交信の全部が残っているわけではなく、日付は続いていない。船から陸への報告に混じる数字は符丁で、控えの中に対照表はない。

// 本文

十月三日 〇六三〇

(定時)こちらは戸崎漁業無線局。本日の予報を申し上げます。風、北東の四から五メートル。波、一メートル。うねりを伴います。日中、風やや強まる見込み。視程、良好。以上、戸崎漁業無線局でした。


十月三日 〇七〇二

戸崎 明神丸、何かありますか。
明神丸 なんもない。どうぞ。
戸崎 了解。幸漁丸、何かありますか。
幸漁丸 三二、〇四、一一。どうぞ。
戸崎 三二、〇四、一一、了解。……幸漁丸、二組目は前回と同じでよろしいですか。どうぞ。
幸漁丸 同じだ。表は替わってない。どうぞ。
戸崎 了解。第八寿丸。
第八寿丸 ありません。どうぞ。
戸崎 了解。栄久丸。
栄久丸 こちら栄久丸、二八、〇六、〇三。どうぞ。
戸崎 二八、〇六、〇三、了解。以上で終わります。


十月十七日 一五一二

第八寿丸 戸崎、第八寿丸。どうぞ。
戸崎 第八寿丸、どうぞ。
第八寿丸 南の根の外だ。深さが出る。百二十。どうぞ。
戸崎 繰り返してください。どうぞ。
第八寿丸 百二十だ。海図は六十しかない。どうぞ。
戸崎 百二十、了解。機器の状態はいかがですか。どうぞ。
第八寿丸 異常はない。底は六十のところにちゃんと出てる。その下にもう一本出る。どうぞ。
戸崎 了解。


十月十七日 一五二一

明神丸 第八寿丸、聞いてたか。どうぞ。
第八寿丸 聞いてた。どうぞ。
明神丸 二重だろう。強すぎるんだ。ちょうど倍じゃないか。どうぞ。
第八寿丸 ……ああ。倍だな。どうぞ。
明神丸 絞ってみろ。消えるから。どうぞ。
第八寿丸 やってみる。どうぞ。


十月二十日 〇六三〇

(定時)こちらは戸崎漁業無線局。本日の予報を申し上げます。風、北の六から七メートル。波、二メートル。うねりを伴い、しだいに高くなる見込み。出漁を見合わせる方は、あらかじめお知らせください。以上、戸崎漁業無線局でした。


十月二十四日 〇七〇四

戸崎 第八寿丸、何かありますか。
第八寿丸 先の件だが、落としても出る。どうぞ。
戸崎 絞ってもですか。どうぞ。
第八寿丸 いちばんまで絞った。魚も出なくなるが、下の一本は残る。どうぞ。
戸崎 了解。念のため、点検の日に見てもらってください。以上です。栄久丸。
栄久丸 こちら栄久丸、変わりない。どうぞ。
戸崎 了解。


十一月二日 一四三〇

第八寿丸 明神丸、聞こえるか。どうぞ。
明神丸 聞こえる。どうぞ。
第八寿丸 百十八だ。どうぞ。
明神丸 なんだって。どうぞ。
第八寿丸 下の底だ。百二十が百十八になってる。どうぞ。
明神丸 ……倍じゃないってことか。どうぞ。
第八寿丸 倍じゃない。どうぞ。
明神丸 こっちも今度そっち回る。見てみる。どうぞ。


十一月五日 一五四〇

明神丸 第八寿丸、見た。出てる。どうぞ。
第八寿丸 いくつだ。どうぞ。
明神丸 百十二。上のは六十で変わらん。どうぞ。
第八寿丸 三日でまた減ってる。どうぞ。
明神丸 ……気持ちのいいもんじゃないな。どうぞ。
第八寿丸 ああ。どうぞ。


十一月七日 一六〇五

幸漁丸 第八寿丸、幸漁丸。今そこを通った。どうぞ。
第八寿丸 どうだった。どうぞ。
幸漁丸 出てない。六十だけだ。どうぞ。
第八寿丸 ……そうか。どうぞ。
幸漁丸 日によるんじゃないか。どうぞ。
第八寿丸 かもしれん。どうぞ。


十一月十日 〇七〇二

戸崎 各局、おはようございます。連絡がひとつあります。先月の点検の結果が届いております。当局の受け持ちの船に、無線機の不具合の申し送りはありません。以上です。第八寿丸、何かありますか。
第八寿丸 南の根の外、百五。どうぞ。
戸崎 百五、了解。記録しておきます。念のため、そちらの海図の数字を教えてください。どうぞ。
第八寿丸 六十だ。どうぞ。
戸崎 六十、了解。海図と食い違うようでしたら、こちらから上へ上げておきます。以上です。幸漁丸。
幸漁丸 異常なし。どうぞ。
戸崎 了解。


十一月十四日 一五五〇

栄久丸 第八寿丸、今どこだ。どうぞ。
第八寿丸 南の根の外を流してる。どうぞ。
栄久丸 あそこは魚が出ないだろう。どうぞ。
第八寿丸 真上は出ない。外の縁に付いてる。どうぞ。
栄久丸 ……なるほどな。逃げた先か。どうぞ。
第八寿丸 そういうことだ。悪くない。どうぞ。
栄久丸 了解。無理はするな。どうぞ。


十一月十六日 一六二〇

第八寿丸 栄久丸、聞こえるか。どうぞ。
栄久丸 聞こえる。どうぞ。
第八寿丸 今日は良かった。縁で付いた。どうぞ。
栄久丸 そりゃ結構だ。どうぞ。
第八寿丸 しばらく通ってみる。どうぞ。
栄久丸 了解。


十一月十九日 〇六三〇

(定時)こちらは戸崎漁業無線局。本日の予報を申し上げます。風、北西の五から六メートル。波、一・五メートル。海上、風波が高くなります。夕方以降、時化模様。早めの帰港をお願いします。以上、戸崎漁業無線局でした。


十一月二十二日 〇七〇〇

戸崎 明神丸、何かありますか。
明神丸 なんもない。どうぞ。
戸崎 了解。第八寿丸。
第八寿丸 ……。
戸崎 第八寿丸、感度いかがですか。どうぞ。
第八寿丸 ありません。どうぞ。
戸崎 了解。栄久丸。
栄久丸 変わりない。どうぞ。
戸崎 了解。


十一月二十四日 一四一〇

栄久丸 第八寿丸、位置を頼む。どうぞ。
第八寿丸 北緯三三度四二分、東経一三五度……一三三度。どうぞ。
栄久丸 東経が一三三度か。どうぞ。
第八寿丸 東経一三五度〇八分。どうぞ。
栄久丸 了解。さっきのは言い間違いだな。どうぞ。
第八寿丸 言い間違いだ。どうぞ。


十一月二十七日 一五三〇

栄久丸 明神丸、聞こえるか。どうぞ。
明神丸 聞こえる。どうぞ。
栄久丸 第八寿丸だが、少しおかしくないか。どうぞ。
明神丸 なにがだ。どうぞ。
栄久丸 この前の点呼、一度目に出なかったろう。局が二度呼んでた。どうぞ。
明神丸 ……ああ。あったな。どうぞ。
栄久丸 先だっては位置を聞いたら、東経を一三三度と言った。言い直したが。どうぞ。
明神丸 一三三度は山ん中だ。どうぞ。
栄久丸 だろう。どうぞ。
明神丸 ……返事も遅い。こっちの話と繋がらんときがある。どうぞ。
栄久丸 こっちもだ。どうぞ。


十二月一日 〇七〇二

戸崎 第八寿丸、何かありますか。
第八寿丸 ありません。……そちらは今、何時でしょうか。どうぞ。
戸崎 〇七〇二です。そちらの時計が止まりましたか。どうぞ。
第八寿丸 ありがとうございます。どうぞ。
戸崎 ……第八寿丸、時計はいかがですか。どうぞ。
第八寿丸 ありません。どうぞ。
戸崎 了解。


十二月四日 一四五〇

明神丸 第八寿丸、そっちの潮は。どうぞ。
第八寿丸 三一、〇六。どうぞ。
明神丸 ……潮を聞いてる。どうぞ。
第八寿丸 三一、〇六。どうぞ。
明神丸 了解。


十二月八日 一六〇〇

幸漁丸 明神丸、明日は出るか。どうぞ。
明神丸 出る。凪だろう。どうぞ。
幸漁丸 こっちも出る。氷は積んどけよ。どうぞ。
明神丸 わかってる。どうぞ。


十二月十一日 一五二〇

第八寿丸 八十四。どうぞ。
栄久丸 第八寿丸、こちら栄久丸。今のはこっちへか。どうぞ。
第八寿丸 八十四。どうぞ。
栄久丸 下の底の話か。どうぞ。
第八寿丸 八十四。どうぞ。
栄久丸 ……了解。


十二月十五日 〇六三〇

(定時)こちらは戸崎漁業無線局。本日の予報を申し上げます。風、北の七から八メートル。波、二・五メートル。海上、警報が出ております。本日の出漁は見合わせるようお願いします。以上、戸崎漁業無線局でした。


十二月十八日 一四二〇

栄久丸 第八寿丸、栄久丸。感度いかがですか。どうぞ。
第八寿丸 聞こえています。どうぞ。
栄久丸 今日は出たのか。どうぞ。
第八寿丸 そちらの言うとおりにします。どうぞ。
栄久丸 ……何も言ってない。出たのかと聞いてる。どうぞ。
第八寿丸 聞こえています。どうぞ。
栄久丸 ……。


十二月二十二日 〇七〇四

戸崎 第八寿丸、何かありますか。
第八寿丸 ありません。どうぞ。
戸崎 了解。栄久丸。
栄久丸 変わりない。どうぞ。
戸崎 了解。以上で終わります。


十二月二十六日 〇六三〇

(定時)こちらは戸崎漁業無線局。年末年始の運用についてお知らせします。二十九日から一月三日までは、朝夕の定時の予報のみといたします。各局への呼び出しはお休みします。急な用の方は、いつでもお呼びください。以上、戸崎漁業無線局でした。


一月五日 一五一〇

栄久丸 第八寿丸、栄久丸。聞こえるか。どうぞ。
第八寿丸 聞こえています。どうぞ。
栄久丸 今年もよろしくな。どうぞ。
第八寿丸 こちらこそ、よろしくお願いします。どうぞ。
栄久丸 ……。
栄久丸 ……おまえ、そんな喋り方だったか。どうぞ。
第八寿丸 聞こえています。どうぞ。


一月九日 一四四〇

栄久丸 第八寿丸、栄久丸。今日はどこにいる。どうぞ。
第八寿丸 南の根の外にいます。どうぞ。
栄久丸 深さは。どうぞ。
第八寿丸 深さの話はしていません。どうぞ。
栄久丸 ……こっちが聞いてる。どうぞ。
第八寿丸 深さの話はしていません。どうぞ。
栄久丸 了解じゃない。どうぞ。
第八寿丸 深さの話はしていません。どうぞ。
栄久丸 ……。


一月十四日 一五三〇

明神丸 栄久丸、聞こえるか。どうぞ。
栄久丸 聞こえる。どうぞ。
明神丸 あそこは今日、潮が悪いぞ。どうぞ。
栄久丸 ……ああ。潮が悪いな。どうぞ。
明神丸 わかったな。どうぞ。
栄久丸 ……ああ。


一月十八日 一六一〇

栄久丸 第八寿丸、栄久丸。どうぞ。
第八寿丸 聞こえています。どうぞ。
栄久丸 正月は上がったのか。どうぞ。
第八寿丸 聞こえています。どうぞ。
栄久丸 ……。


一月二十四日 一五四〇

第八寿丸 栄久丸、第八寿丸。どうぞ。
栄久丸 ……。
第八寿丸 栄久丸、第八寿丸。感度いかがですか。どうぞ。
栄久丸 ……勝美か。どうぞ。
第八寿丸 聞こえています。どうぞ。
栄久丸 ……もういい。
第八寿丸 了解しました。どうぞ。
栄久丸 ……終わり。


一月二十八日 一四三〇

明神丸 栄久丸、聞こえるか。どうぞ。
栄久丸 聞こえる。どうぞ。
明神丸 昨日の氷、助かった。どうぞ。
栄久丸 気にするな。どうぞ。


二月二日 〇七〇二

戸崎 明神丸、何かありますか。
明神丸 なんもない。どうぞ。
戸崎 了解。幸漁丸。
幸漁丸 異常なし。どうぞ。
戸崎 了解。第八寿丸。
第八寿丸 ありません。どうぞ。
戸崎 了解。……第八寿丸、少しよろしいですか。どうぞ。
第八寿丸 どうぞ。
戸崎 今朝の海況を教えてください。そちらの見たままで結構です。どうぞ。
第八寿丸 ありません。どうぞ。
戸崎 海況です。風と波を伺っています。どうぞ。
第八寿丸 ありません。どうぞ。
戸崎 ……失礼ですが、そちらは、どなたですか。どうぞ。
第八寿丸 ありません。どうぞ。
戸崎 ……了解。


二月二日 〇七一一

戸崎 栄久丸、何かありますか。
栄久丸 ……変わりない。どうぞ。
戸崎 了解。以上で終わります。


二月五日 〇六三〇

(定時)こちらは戸崎漁業無線局。本日の予報を申し上げます。風、北東の五メートル。波、一・五メートル。うねりを伴います。午後より風、弱まる見込み。以上、戸崎漁業無線局でした。


二月五日 〇八四〇

戸崎 こちら戸崎漁業無線局。本局あて、一件、報告いたします。当局の受け持ちのうち第八寿丸につきまして、十一月下旬より、こちらの照会に対する応答を確認できておりません。呼び出しには毎回応じております。当局では取り扱いを決めかねますので、ご指示をお願いいたします。以上です。

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