F-0034 二時から四時、籠には乗らないこと
- 時期
- 2014 年正月明け〜2016 年 3 月(写しに残る範囲)
- 状態
- 完全
- 出所
- 業務日誌とは別に管理員が私的に付けていた記録帳からの写しとされる。写しは抜粋で、写した者は分かっていない。
// 本文
(管理員が私的に付けていた記録帳からの写しとされる。日付と時刻は書かれたまま。写しは抜粋)
2014.1.6
十四階の方より申し出。夜中にエレベーターの動く音、扉の開く音がする、降りる人の気配はない、とのこと。録画を確かめますと答えて、お引き取りいただく。
2014.1.7
録画を確認。二時十三分、誰も乗せないまま一階から上へ。十三階と十四階のあいだで停まって、扉が開く。誰も乗らない。誰も降りない。五秒で閉まって、一階へ戻る。そのあいだ、階数の表示は 13.5 を出している。
機械の癖だろう。保守に連絡すること。
2014.2.3
二時五十六分。十三階と十四階のあいだ。四秒。
2014.2.17
定期点検の立会。各部異状なしとのこと。遠隔の記録では、当該の時刻にかごは一階から動いていないという。録画装置の時計が狂っているのだろうというのが担当の見立て。その場で時計を合わせてもらう。
2014.3.9
時計を直してから最初の夜。三時九分。四秒。映像は同じ。
2014.6.21
二時四十分。13.5。三秒。
2014.12.28
一年分を数えてみた。ひと月に二夜か三夜。二時から四時のあいだ。同じ夜に二度はない。人の乗る時間帯には一度も出ていない。理事会に諮るほどのことか、決めかねている。
2015.2.16
定期点検の立会。異状なし。先月から一度も出ていない。このまま出なくなるのなら、それでよい。
2015.3.14
三時二十二分。13.5。四秒。また始まった。
2015.10.20
十四階の方が管理室に見えた。十四日の夜、乗っているときに停まったとのこと。録画を確かめる。日付では十五日、零時四十一分。十一秒。
人が乗っているあいだに開いたのは、はじめて。二時から四時の外で出たのも、はじめて。
二時から四時、籠には乗らないこと。
住人に知らせる必要はない、まだ。
2015.11.16
理事会。夜間にかごの空転があり、保守会社と経過を見ている、と報告。一行にした。それ以上は、書きようがない。
2016.1.12
朝、録画を確かめる前に、湯を一杯のむことにしている。のんでから、再生を押す。
2016.1.30
三時五分。13.5。四秒。
(欄外に、日付のない一行がある)
誰も乗らず、誰も降りないのに開くのなら、あの数秒、籠はよそで使われているのではないか。
2016.2.9 二時四十四分 三秒
2016.2.22 三時三十一分 四秒
2016.3.4 二時五十八分 三秒
2016.3.11 三時四十分 五秒
2016.3.19 二時二十六分 三秒
2016.3.26 二時十二分 四秒
(写しに残るのはここまで)
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